2024年3月に開幕したカートレースの新シリーズ“EXGEL MAXチャンプ”。5月26日にはジュニア・シニアの第3ラウンドが鈴鹿サーキット南コースで開催された。
過去2大会でジュニアは澤田龍征が開幕から2連勝、シニアではクインティン・ルゥと津野熊凌大が１勝ずつを挙げ第3ラウンドに臨んだ。
日米ROTAXのアンバサダーである笹原右京が今大会も会場入りし、熱戦を見守った。本大会の前にはMAXチャンプシリーズの取り組みの一環である”笹原右京カートスクール”が開催されており、今大会のジュニアにはその参加者も多数エントリーしていた。
MAXチャンプシリーズの、アカデミーとしての取り組みも着実に推し進められつつある。
公式予選
21台でスタートした朝の公式予選で、トップタイムを叩き出したのは楠本心真だった。これまでなかなか優勝争いには絡めなかった楠本が、会心のアタックを決めてみせた。2番手には開幕ラウンドから速さを見せている横山輝翔、3番手には今シーズン成長株の前田蒼介が続いた。トップタイムから6番手までが0.1秒以内、10番手までが0.2秒以内と極めて僅差の公式予選となり、早くも混戦を予想させる朝のセッションとなった。
楠本心真
横山輝翔
前田蒼介
予選ヒート
抜群のスタートを見せたのは、2列目4番手スタートの澤田龍征だった。1-2コーナーでの攻防で澤田が一気にトップに立つと、2番手スタートの横山輝翔がそれに続く。一方、ポールスタートの楠本心真はオープニングラップで4位までドロップしてしまう。
序盤にまず動いたのは5番手スタートの坂野太絃だった。坂野はトップ澤田に一気に追いつきオーバーテイクするも、澤田は落ち着いてポジションを奪い返しトップを堅持。その後坂野、楠本、横山が三つ巴の2位争いを始めるがトップ澤田は逃げる展開には持ち込めず、ヒート終盤までトップ4台による激しいポジション争いが続いた。
最終ラップ最終コーナーではワンチャンスを狙って2番手の横山がトップ澤田に仕掛けるも届かず。
予選ヒートは澤田がトップチェッカー、2位に横山、3位坂野、4位楠本となった。
澤田龍征
坂野太絃
予選ヒートスタート
澤田龍征を追う坂野太絃と楠本心真
決勝ヒート
決勝は波乱含みのスタートとなる。
隊列が整いスタートが切られるも、シグナルの微妙なタイミングで混乱が生じたのか、複数のドライバーが手を挙げローリング続行をアピール。しかしレースはそのままスタートし、結果的にスタート直後の1-2コーナーで大きく順位変動が起こることとなった。ポールスタートの澤田とセカンドの横山もその混乱に巻き込まれる形で交錯、坂野太絃も行き場を失い大きくポジションを落とした。その間隙をうまく縫った楠本心真が4番手スタートからトップに立ち、レース序盤は関口瞬が2番手につけ楠本を追う展開となった。
楠本は一旦は2番手以下に対しリードを築くも、スタートで出遅れた横山が徐々に背後に迫り僅差のトップ2を形成。さらにその後方では澤田が虎視眈々とチャンスを窺う。4番手には9番手スタートから順位を上げてきた手塚大雅がつけ、4位集団を力強くリードしていった。
トップ楠本に2番手横山がプレッシャーをかけ続ける展開が続くも、隙を見せずノーミスのラップを刻む楠本。そしてレース後半に楠本がファーステストラップを叩き出すと、横山の追撃もそこまで。
楠本はこれが初優勝とは思えない堂々のレース運びを見せ、ジュニアでの初優勝を遂げた。
2位には横山、3位には横山のチームメイトの澤田が入り表彰台の一角を占めた。
ローリングスタート
トップを快走する楠本心真
4位を力走する手塚大雅
楠本心真、念願の初優勝
歓喜のガッツポーズ
悔しさも滲ませる横山輝翔
ジュニア表彰式
ジュニア表彰台 スパークリングファイト
楠本心真コメント：
「やっと優勝できました。ERSチームの方々、ずっと僕を指導してくれた松尾メカニックのサポートがあったお陰です。感謝の気持ちを忘れずに、これからも努力を続けていきます。ありがとうございました。」
公式予選
28台が出走した公式予選。トップタイムはクインティン・ルゥが記録し、僅か0.042秒差の2番手に金子准也、0.062秒差の3位に白石いつもが続いた。シニアも0.1秒のタイム差で予選順位が10ポジション変わる僅差で、MAXのフラッグシップカテゴリーに相応しいハイレベルな予選アタックが繰り広げられた。
前戦の第2ラウンドで予選上位に入った門田翔成が4番手、津野熊凌大も5番手に続き、トップを狙える位置で公式予選を終えた。
クインティン・ルゥ
金子准也
白石いつも
門田翔成
津野熊凌大
予選ヒート
隊列が整わず一度仕切り直しとなった予選ヒートのスタート。ホールショットを奪ったのはセカンドスタートの金子准也だった。予選ポールのクインティン・ルゥは4番手スタートの門田翔成にも先行を許し、一旦3位まで順位を落とした。しかしクインティン・ルゥは門田、金子をすぐさま仕留め２周目にはトップのポジションを回復。序盤はトップのクインティン・ルゥからやや間隔を空けて2番手に金子、3番手門田、4番手土橋皇太、5番手佐々木芳音、6番手の冨田蓮までが第一集団を形成した。
中盤からはトップのクインティン・ルゥを2番手金子がただ一人追う展開となるが、仕掛けるまでの距離までは詰められずチェッカー。3番手に門田、4番手には佐々木が続き予選ヒートを終えた。
予選ヒートスタート
トップを奪い返すクインティン・ルゥ
トップのクインティン・ルゥを追う金子准也
決勝ヒート
迎えた決勝スタート。1コーナーに並走状態で進入するポールのクインティン・ルゥとセカンドの金子准也によるポジション争いはクインティン・ルゥが制し、オープニングラップで早くも2番手以下を引き離すことに成功。その後方では金子、門田翔成による2番手争いが展開すると思われたが、１周目の最終コーナーで一気に2番手までポジションを上げてきたのは7番手スタートの塩田惣一朗だった。
序盤から早くもセーフティーリードを築いたクインティン・ルゥの後方では2番手塩田と3番手金子によるポジション争いも落ち着き、4番手門田と5番手冨田蓮までが隊列を組む展開が続いた。
レース後半には2秒近く開いた2番手塩田とのギャップを、巧みにコントロールする余裕も見せるトップのクインティン・ルゥ。最後は1.4秒のリードを残してトップチェッカーを受けた。2位には素晴らしいスタートからポジションを守り切った塩田、3位には金子が入りトップ3に踏みとどまった。
津野熊凌大の圧勝を許した第2ラウンドから一転、再びクインティン・ルゥがシニアで圧勝し実力を誇示してみせた。
アンバサダー笹原右京と金子准也(左)、クインティン・ルゥ(右)
スタート前の塩田惣一朗
シニア ローリングスタート
オープニングラップからリードを築くクインティン・ルゥ
後続とのギャップをコントロールするクインティン・ルゥ
クインティン・ルゥを追う塩田惣一朗
トップチェッカー
表彰式プレゼンターは笹原右京
シニア表彰台 スパークリングファイト
クインティン・ルゥ コメント：
「前回第2ラウンドが思わぬ結果で終わってしまったので、今回第3ラウンドでは前回以上にプッシュし、そして勝てたことをとても嬉しく思います。僕の感覚に合った速いカートを作るため、僕のことを信じて細かくディスカッションしてくれたTeam Ematyの中村真志さんに感謝します。今シーズンはチャンピオンを目指して、これからも集中して頑張っていきます！」
アンバサダー笹原右京にレース報告を行うクインティン・ルゥ
